中学3年の夏休み、多くの塾で高校入試に向けた指導が本格化しますが、入試問題の中心である長文問題が読めなくて慌てる生徒が続出しているのをご存知ですか?
中学範囲の文法学習を塾の夏期講習で終え、県立高校の過去の入試問題や模試を受け始める生徒たちから聞こえてくる
「長文問題がわからない」「時間内に終わらない」
文法問題中心の公立中学校の定期テストでは点数が取れていたのに、高校入試の模試で点数が取れなくなって戸惑う中学3年生の声です。
穴埋め式・並び替え問題や簡単なライティング中心の定期テストでは点数が取れていたのに、高校入試の模試で点数が取れなくなって英語の自信を無くす生徒たちが続出しているのです。そしてその原因の根っこには
「受験英語も急速に実用英語化している」
という事実があります。
お盆明け、夏休み明けから耳にする「入試問題の長文が読めない・わからない」というSOSになんとか対応できないかという思いからこの記事を書きました。
1. 高校入試英語長文問題で時間が足りない理由
多くの中学生が模試や過去問で「時間内に長文が終わらない」「点数が取れない」と悩んでいます。
その原因の多くは、**「高校入試問題のTOEIC化」**にあります。
高校入試の英語が変化している背景
- これまでの英語教育では、文法の暗記や日本語訳を中心に学んできました。
- 現在の入試問題では、「英語を使った実践的な理解力」が求められています。
具体的には、以下のようなスキルが必要です:
- 英語を日本語に訳さずに理解する力
- 文章全体を俯瞰的に捉え、要点をつかむ力
2. 高校入試英語のTOEIC化とは?
TOEIC化とは、英語を使った実用的な能力を測る試験へのシフトです。従来の入試問題と比較して以下のような特徴があります。
旧来の入試問題
- 文法の正誤を問う問題
- 日本語訳に重点を置いた読解問題
現在の入試問題
- 長文読解の分量が増加
- 日常生活での対話や告知、紹介文などの実用的な文章
- 具体的な場面設定に基づいた質問
例: 「メールの本文を読んで、どのチケットを購入すべきか選びなさい」
このような問題では、日本語に訳す時間がないため、英語をそのまま理解するスキルが求められます。
3. 英語長文をスラスラ読むための具体的な練習法
長文を時間内に読み終えるには、次のような練習が効果的です。
(1) 設問を先に読む
- 長文を読む前に設問を確認し、どの情報を探すべきかを把握します。
例: 「登場人物が最も大切にしているものは?」→ 人物名やキーワードに注目。
(2) キーワードに注目
- 主語や動詞、数字や固有名詞などの重要な単語に目を向けましょう。
例: 「In 2023, Lisa started a new project.」→ 時間や人物に注目。
(3) パラグラフごとの要点を掴む練習
- 長文を部分ごとに区切り、各段落の要点をまとめます。
- 練習問題: 短い英語の記事を用意し、「この段落の主旨は?」と問う。
4. 訳読主義から脱却する学習ステップ
(1) 英語を英語のまま理解するトレーニング
- 簡単な英文から始め、意味を日本語に変換せずに理解する練習をします。
おすすめ教材: 短い英語の絵本やニュース記事。
(2) 音読の重要性
- 毎日5分間、音読を行い、英語のリズムや語感に慣れます。
例: 英語長文を声に出して読むことで、文章の構造が自然に身に付きます。
英語で内容、論理を理解できるようにする英語学習
世界的には何十年も前から「聞いてわかる」「読んでわかる」「話して伝える」「書いて伝える」英語学習が一般的です。日本の従来の訳読中心の英語学習法が例外なのです。
今後は、英語の先生も以下の2種類に分かれていくと思われます。
・英語を聞いて内容をイメージ・理解できる先生
・訳読して英語を教える先生
英語の訳読が当たり前で英語を訳さず理解する経験がないと「英語を英語のまま理解する」状態をイメージできません。生徒にもいちいち日本語に訳させて「日本語に訳せるかどうか」で生徒の理解度を測ってしまいます。
この日本を一歩外に出たら常識ではないのです。
例えば:
不定詞の名詞用法 〜すること
と教えて不定詞の名詞適用法の文章の箇所が出てくると「勉強すること」「テレビを見ること」と生徒に繰り返し訳させることは「英語を英語のまま理解する」トレーニングの妨げになります。
この訳読主義が身についてしまうと、英文を最初から一文一文、単語ごとに訳しながら読むことが習慣になり、実用英語のテストで要求される英文を俯瞰的に読むことが不可能になってしまいます。英語に最後まで苦しむ生徒が続出するのです。
中3の夏休み明けに模試や過去問を解いて「英語がわからない。長すぎて何が書いてあるかわからない」と嘆く多くの生徒はこの訳読主義の習慣が身についてしまっているのですね。
訳読主義からの脱却: 入試レベルの難しい英文をひたすら解いてもスピードは上がらない
次回の記事では「英語を日本語を介さず英語で理解する」技術はどのように身につけるのか、その方法を公開します。訳読主義からの脱却ですね。日本の既存の受験参考書にはほとんど載っていない内容なので、出来るだけ噛み砕いて多くの方に理解していただけるように説明をさせていただきます。
以下の記事をご覧ください。
続きを読む: