以下の記事で現行の大学入試共通テストの英語長文読解とリスニング中心のテスト形式が高校入試の英語テストにも降りてきているというお話をしました。

中学や高校でお子さんが受けている模試や実力テストは、親世代のものとは全く違います。長文をスラスラ読んだり聞いて理解できないと最後まで終わらない高得点が取れないテストになっているのです。

大学入試、高校入試という節目のテストの大幅な形式変更は「受験英語」から「実用英語」への転換という国を挙げた英語力強化の方針に基づいています。この傾向はまだスタートしたばかり。英文の長文化、難易度アップは今後続くでしょう。それは文科省の指針に準拠する英検も同様です。

そして、実用英語の運用能力を測るテストに対応する技能の訓練が学校や塾で行われていないという現状を踏まえて、ではどうしたらその技能を身につけられるのかというアドバイスをしていきます。

日本の英語教育の中心: 訳読主義の弊害

「この単語の意味分かってる?」

とお子さんの英単語の理解を確認したことはありませんか?この質問、文法訳読主義の学習法で学んできた親世代では当たり前の質問なのですが、この質問は英語をスラスラ読んだり聞いたりして英語読解力を身につけていく過程の妨げになります。(なので出来るだけこの質問は避けてください。)

長年の訳読主義の影響が我々の英語観を支配していて、老若男女を問わず、

「英語の文章を読むときは一語一句日本語に訳せないと内容を理解したことにならない。」

という誤解が日本の多くの英語学習者の常識となっています。

この常識を覆すには、努力だけでなく、工夫、戦略、よりクリエイティブなアプローチが必要だと日々感じています。ただし、新形式のテストを実際に受けていこどもたちは、Howの部分は教わらずに、訳読をしていたら絶対に終わらない問題を渡され、読み方と練習方法を知らずに英語長文への苦手意識を持ってしまっています。

そんな、問題用紙に広がる英語長文(英単語の羅列)を見て圧倒されている多くの学生に向けて、先ず習慣にしてほしい5つの基本の考え方を紹介します。

英語長文が怖くなくなる5つの習慣

  1. 簡単な文章から内容をイメージしながら読む: 入試問題を解く前に、簡単な文章から内容をイメージする練習を始めましょう。
  2. 音読の習慣化: 音読を日常的に行い、英語のリズムと発音、そして語順に慣れましょう。
  3. 読み飛ばす勇気: わからない単語があっても、すぐに辞書で調べず、文脈から意味を推測します。
  4. 段落ごとに要約: 読んだ段落ごとに、内容を簡潔に要約する練習を行います。
  5. 単語帳の使用を避ける: 単語帳を使って語彙問題で高得点を狙わず、実際の文脈での単語使用を理解しましょう。

「文法訳読主義からの脱却法」と題して、今後この5つの習慣それぞれについて解説をしていきます。

先ずは1番目の習慣から。

1. 「簡単な文章から」内容をイメージしながら読む

  • 英語を読むスピードが遅い
  • 英語を読むときに、いちいち日本語に訳さないと理解できない

という悩みをもつ英語学習者は多いのではないでしょうか?

そこでおすすめしたいのが教科書や英検の過去問などの英語長文から思い切ってレベルを下げて、簡単な絵本から始めることです。「訳読」する必要が無いものから読んでいくんですね。

中学高校での長文読解トレーニングでは、サイドリーダーなどが課されることが多いです。日常的に読む量を増やすことで長文に慣れさせる指導ですが、「訳読=読むのが苦痛」になっているケースがほとんどです。学習者にとって難しすぎる英文を「がんばって読ませる」ような指導は、

英語を読むときに、いちいち日本語に訳さないと理解できない

という根本原因の解消にはつながらず、英語嫌いをさらに増やすことになります。

先ずは「簡単なものをたくさん読む」が正解です。

その際にとでも便利なのが、アメリカの学校でも普及しているオンライン多読教材の Raz-Kids です。

  • 簡単なレベルから絵を見ながら読めるので英語とイメージを結びつけやすい
  • Level aa から 徐々にレベルが上がっていく
  • 各レベル十分な本の数がある
  • ページごとに音の再生ができるので音読教材としても使いやすい
  • 確認クイズは内容把握に加えて英文のロジックも学べる

わずかな費用で「日本語を介さず英文を読める」基礎を身につけられる Raz-Kids を使って例えば1日1ページでも音を聞いて内容をイメージ、そしてイメージしながら文を読んでみることを続けていくと「長文の見え方」が変わってきますよ。

英語長文が苦手な中学生、高校生にもおすすめのやり方です。

2. 音読の習慣化

英語処理能力を格段に上げてくれる「音読」。音読の効果として、発音、リスニング力の向上が挙げられますが、英語長文を読む際のスピードアップ効果もあります。

フォニックスで英語発音の基礎を固めながら、その音の記憶と発音方法を使って読んでいきます。

*中学生向けのフォニックス習得に関しては以下の記事をご確認ください。

この際にも「簡単な文章から」内容をイメージしながら読む事が大切です。

  • 内容をイメージしながら徐々にレベルを上げていく
  • 英語の語順のまま読み、返り読みをしない
  • 日本語に訳さない

を習慣化する事で、大人たちが「長い」「難しい」と感じて一語一句訳している様な文章でも、パッと一読して内容をイメージできる様になります。

1日1ページでも毎日音読する習慣をつけると英語の「見え方」が変わります。

英単語のジャングルに迷い込んだ探検家ではなく、ジャングルを上空からヘリコプターで俯瞰して、遭難者を探す救助隊員のイメージです。

3. 読み飛ばす勇気を持とう

段階的に英文を読む習慣がついていると読み飛ばしができる様になります。

英文を読んで内容をイメージできる、音読習慣でパッと見て内容が分かるフレーズ、文章が増えてきたら、読める文章のレベルも自然に上がっていきます。英検準2級、Raz-Kidsで言えば Level M ぐらいが該当します。

このレベルになると文章量が増え、知らない単語も出てきます。知らない単語や意味をイメージしづらい文章が出てきた時にその部分を前後の文脈から「推測」する事が必要になってきます。

「あれ、この単語わからないぞ」

となった時にそこで立ち止まってしまうのはNG。読み進んでみるとその説明が書かれていたり、あるいはあまり重要な箇所ではなかったりと解決してしまう事が多いんですね。「訳読主義」に囚われていると日本語訳で時間がかかるところに加えて、単語の意味で立ち止まることになって、

「結局この文章は何を言いたかったのか?」

というジャングルで迷子の状態に陥ります。英語長文が「嫌い、苦手、見るのも嫌」となる瞬間ですね。

具体的な練習方法は長くなってしまうのでお問合せください。

4. 段落ごとに要約

また、このレベルになるとパラグラフ(段落)ごとの内容の要約練習が有効になります。

段落ごとに見出しをつけていきます。すると文章全体が俯瞰できて話の流れ、論理展開がつかめてきます。より俯瞰できるので余裕を持って長文問題の正解を導き出す事ができる様になります。

こちらも具体的な練習方法は長くなってしまうのでお問合せください。

5. 単語帳の使用を避ける

英検や入試直前になると「とにかく単語だ」といって市販の日本語対訳と例文が載った単語帳を何周もやる方がいますが、効率的な様に見えて実は弊害があります。せっかく長文を内容をイメージしながら読めていたのに「訳読主義」に戻ってしまう可能性があります。引き戻されない様気をつけてください。

単語帳を使うとどうしても英語と日本語の「文字対文字」の対訳練習になってしまうため、イメージが介在せず、実用性、柔軟性、応用性に欠けてしまいます。「実用英語」では単語テスト的な問題が減っていくので、成績の伸び悩みの原因になります。

単語帳は出題傾向の確認程度に使うに留めて、長文を読みながらもしわからない単語やフレーズがあったらネットで調べてください。DeepL や Google 翻訳を使って、単語ごとではなくて文全体を日本語訳、音声機能を使ってその文を丸ごと音読練習すると同じ時間で何倍もの学習効果が得られます。

「訳読主義」からの脱却が長文読解力向上の決め手です。急速に「実用英語化」している入試英語に余裕を持って対応できる力を5つの習慣で身につけていってください。

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カテゴリー: 中学校英語